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※過去に掲載された記事になります。内容は公開時のものであり、最新の情報とは異なる場合がございます。


まだサラリーマンをしていた頃、部署のなかでいちばん下っ端だったぼくが、朝、だれよりも早く出勤してまずやるのは、コピー機の電源を入れることだった。
みなさんも経験があると思うが、コピー機というのは使おうと思ったときに電源を入れても、ウーとかウィーンとかいって、すぐには使えないからだ。 当時は、それが朝のルーティンワークだったからなんとも思わなかったが、いまにしてみると、いったいあのウーとかウィーンとかいうのはなんだったのかと思う。なぜコピー機は電源を入れてもすぐには使えなかったのだろう。
松下が得意のIH技術を使って、エコなフルカラーデジタル複合機をつくったという。複合機といえば、コピーのほか、スキャナー、ファクス、プリンタなどの機能も兼ね備えた、オフィスには欠かせないマシーンだ。こいつは調べてみないと。もしかしたら、あのウーとかウィーンとかの秘密もわかるかも。
それにしても、エコな複合機ってのはどういうことだろう。まさか、色を薄〜くプリントしてトナー代を浮かすなんてせこい話ではあるまいし。となれば、やはり消費電力の話か。でも、複合機って、そんなに電気をくうものなのだろうか。まずは、複合機が紙にプリントするしくみを勉強する必要がありそうだ。
コピー機や複合機が、トナーという色のついた粉を紙にくっつけてプリントしていることはなんとなくわかるよね。
4色のカラープリントの場合、読み込まれた原稿のデータに合わせて、C(青) M(赤) Y(黄) K(黒) 4色のトナーを紙の上に配置することで、紙に原稿と同じ文字や図が再現されるというわけだ。

ところが、これでめでたしめでたしとはいかない。この時点では、トナーは紙の上にのっているにすぎない。ためしに、この状態の紙を手でこすってみると、またたく間にひどい有様に……。
コピー機や複合機がプリントした紙を吐き出すまでには、じつは、もうひとつ大事な作業がある。それが「定着」という行程なのだ。
「定着」とは、その名のとおり、紙にトナーを定着させる行程。一般的には、ハロゲンランプで熱した金属パイプ(定着ローラー)を紙に強く押し当てて、熱と圧力でトナーを紙にはりつかせる。こうすることで、トナーが紙からはがれなくなるのだ。
このときの温度は160〜180度ほど。てんぷらも揚がるほどの高温である。コピー機から出てくる紙がほんのり温かいのも、定着の際の熱が残っているからなのだ。
賢明な読者諸君なら、もうすでにお気づきのことだろう。このどえらい熱を必要とする定着の行程に、エコなポイントが潜んでいるというわけだ。事実、複合機全体の消費電力の約7割を、この定着部で使っているそうだ。定着の行程でどれだけ省エネを実現できるか、ということが、そのまま複合機全体の省エネ実現につながるわけである。
定着の行程において、省エネを考えるならば、使うときだけ定着ローラーを熱し、使わないときは電気を通さなければいい。いわゆるスリープ機能というやつだ。
ただし、電気を通さなければ定着ローラーはどんどん冷えていくから、いざ使おうと思ったときには、定着ローラーが温まるまで待たなければならない。一度冷えたローラーが使用できる状態まで温まるには(ウォームアップタイム)、従来の方式では数分かかっていた。これが、電源を入れたときや、スリープ状態から立ち上げるときの、あのウーとかウィーンの正体だったのだ。
省エネのためには、使わないときは定着ローラーに電気を流さなければいい。しかし、そうすると温まるまでに時間がかかる。すぐに使えるようにしておきたいのなら、常に定着ローラーを温めておかなければならない。そのためには、使わないときにも電気を流すことになる。
このせめぎ合いのなか、効率が求められるオフィスという場では、どうしても利便性が優先されてしまう。それが、コピー機、複合機における省エネの難しさなのだ。
定着は「熱」と「圧力」によって行われる。その両方の仕事をひとつのローラー(上の図参照)でやろうとすると、どうしてもローラー自体が大きく厚くなり、温まりにくくなってしまう。
逆に考えると、定着ローラーがものすごく早く温まるのなら、スリープ機能を積極的に活用することで、省エネが実現できるわけだ。
そこで、「熱」担当のローラーと「圧力」担当のローラーを分ける、2軸式という方法が編み出された。2つのローラーは定着ベルトで結ばれている。定着ベルトは、金属や樹脂でできた、フィルムのような薄いベルトなので、加熱ローラーであっという間に熱せられる。その熱が、定着ローラーによって圧力とともに紙に伝わるわけだ。
この方法によって、従来の方式では数分かかっていた複合機のウォームアップタイムが、数十秒にまで短縮された。
しかし、数十秒ではまだまだ便利とはいいがたく、省エネにはほど遠い。そこで、ウォームアップタイムをより短縮できる方法として着目されたのが、クッキングヒーターなどでおなじみのIHの技術だ。
IH(Induction Heating/電磁誘導加熱)とは、コイルに電気を流すことで発生する磁力によって、隣接するものを発熱させる技術。熱効率がよく、さまざまな分野で利用されている。台所まわりで見かけることが多いね。
とりわけ、松下にとって、このIH技術は得意分野。(絵をクリックで商品ページへ飛ぶよ)
こういったグループ内のIHに関する技術やノウハウを結集して、完成したのが、フルカラーデジタル複合機「WORKiO(ワーキオ)」である。ワーキオはIHの技術と2軸式の方式を融合し、カラー複合機として世界最速15秒という驚異のウォームアップタイムを実現したのだ。
複合機が15秒で立ち上がるなら、せっかちなあなたでも待てるでしょ? さあ、オフィスの複合機をスリープ状態にしよう。レッツ・スリープ!(あなたはくれぐれも、仕事中に居眠りしないように)
