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ガンダーラ井上のスゴイ技術探訪 〜最新商品のテクノロジー〜 「快適」と「省エネ」の探求 エアロボ

ガンダーラ井上のスゴイ技術探訪 〜最新商品のテクノロジー〜 トップへ戻る
2008年7月8日公開
どうやら最近のエアコンはスゴイことになっているらしい。何がスゴイって、エアコンの中にロボットがいるらしいのです。ここ数年のナショナルエアコンはフィルターお掃除ロボットに加え、気流ロボットを搭載。さらに最新機種では部屋にいる人間の活動量まで察知するというからビックリですよね。そんなワケで我々取材班は「エアロボ」の開発現場である滋賀県・草津へ参上。その驚くべき内容を拝見することになったのです。

エアコンに関する悩み、全部ひきうけます

エアコンの熱交換器を眺めるガンダーラ井上氏

熱交換器には除菌剤が添着されているので、ニオイ成分が洗い流される。
運転後には加熱してカビの繁殖も防ぐ。

正直なところ、私はエアコンが少々苦手なのです。冷房シーズンの初期には動き始めのニオイが気になる。そして吹き付けてくる風で目が乾燥ぎみになるしヒジや肩が冷えすぎる気もする。とはいえスイッチを切るとやっぱり暑い‥。そんな悩みのタネとなっているのは使用歴10年のエアコンでありました。
これらの問題、エアロボがまとめて解決してくれるみたいです。

ニオイの原因はフォルターや熱交換器の汚れなんですけど、この清掃って面倒ですよね。できることなら誰かにやってもらいたい仕事です。そこで採用されたのがフィルターお掃除ロボット&除菌加工された熱交換器ユニットなのです。

フィルターお掃除ロボット 写真フィルターお掃除ロボット 写真

フィルターの上を自走するミニ掃除機が、ホコリを吸い込んで室外に。

いい仕事してくれますねぇ。フィルターお掃除ロボット。更なる懸案事項である吹き出し口からの風に対しては、身体に直接風を当てない大きなフラップと、左右独立した動きのルーバーを制御するメカが搭載されているのです。

スケルトンモデル 写真スケルトンモデル 写真

スケルトンモデルの中には、フラップやルーバーの姿勢制御のためのモータやギアなどがギッシリ。

新メカ搭載の気流ロボットにより、より遠く(11m)より広い(170°以上)範囲をカバーしつつ、スポット的に狙いを定めて気流を届けることも可能に。エアコンの中身ってスゴイことになっています。でも、これだけじゃないんです。きめ細やかな気流の制御が可能になったメリットを活かすための更なる新機能がエアロボには組み込まれているのです。

「この部屋」ではなく「アナタ」のためのエアコン

とうしゃ てるおさん 写真

「まずは人の動きのパターンと活動量を調査しました」
エアコンビジネスユニット
先行開発グループ
機能チーム チームリーダー
藤社輝夫(とうしゃ てるお)さん

たとえば同じ部屋に読書する人とアイロンがけする人がいるとします。通常のエアコンでは読書する人は冷えすぎと感じ、アイロンがけする人はもっと冷やして欲しいと感じるもの。すなわち人間の活動量に応じて体感温度は違うのです。人それぞれの動きを見極め、それぞれの居場所に最適な気流を届ける。そんな理想のエアコンを作るために必要な研究対象とは、人間そのものでした。

藤社(とうしゃ)さんによると、日常生活において人間は部屋の中をまんべんなく動き回ることはなく、だいたい2〜3カ所の定位置に落ち着くそうです。そのパターンと活動量をデータ化した結果、人間1人につき約2畳の「活動エリア」があることが判明。たとえば18畳の大きなリビングルームなら9つのエリアに分割することで、それぞれの落ち着き先にいる人に向けた最適な気流を届けることが可能になります。

センサーの検知エリアと住む人の活動エリア イメージ図
約2畳の「活動エリア」に人間は落ち着く。

かわの ゆうすけさん 写真

「人の動きを赤外線センサーで感知します」
エアコンビジネスユニット
先行開発グループ
機能チーム 主任技師 
河野裕介(かわの ゆうすけ)さん

この着眼点、さすがです。エアコンとは部屋の空調をするものではなく、人が快適にすごす環境を生み出すものだという開発姿勢がないと思いつけないアイディアです。では、それぞれのエリアに人がいるかいないか、どれくらいの活動量なのかをいかにしてサーチしているのでしょうか。

最新機種のエアロボに搭載された最大の特徴、それが「いるとこサーチ」と呼ばれる機能。高精度センサーにより部屋全体を見渡し、人の動きをサーチ。その範囲はセンサーから7.5m先までを見渡し、わずか15cmの動きもキャッチするという高性能なもの。このセンサーからの信号を独自のソフトウエアで処理することで『どのエリア』に『どれくらいの活動量の人がいるか』を判断することが可能になったのです。「いるとこサーチ」の優れている点はテレビなどの発熱体は検知せず、人の動きだけを捉えるところ。

エアロボのセンサー 写真
カバーを外してもらうと、そこにセンサーがありました。

センサー2種類 写真
ちなみに3つのセンサーを搭載したモデルでは5つのエリア、5つのセンサーを搭載したモデルでは9つのエリアにいる人をサーチすることが可能です。

各センサーの受光部には集光用のレンズが装着されており、5つのセンサーを搭載したモデルではサーチすべきエリアに応じて近距離用と遠距離用のレンズがあるとのこと。

センサリングの状態が波形グラフで表示されています。センサーとパソコン画面 写真
わずかな動きにも敏感に反応するセンサー。

センサーのレンズ 拡大写真
ちいさな集光用レンズを観察すると

センサーのレンズ 拡大写真
特殊なパターンで成型されたレンズでした。

複眼のセンサーが人の居場所と活動量を捉え、それぞれが快適と思える空調を考える。動きが少なければ温度は高めに、動きが活発であれば低めに。気流ロボットにより自由自在に振り分けられる各エリアへの送風時間と風量により、人の活動量に応じた、最適の空調環境が生み出されるのです。

気流ロボットによる空調環境 イメージ図
活動量の少ない人のいるエリアには、ソフトな風を手短に。
活動量の多い人のいるエリアには、パワフルな風をたっぷりと。

スゴイ技術を実証するための装置

「気流ロボット」を「いるとこサーチ」で制御する最新型のエアロボ。開発の姿勢と内部の構造は理解できたのですが、本当に上手く動いているのでしょうか?住環境という3次元の空間に送り込まれたエアコンの気流とは、まさにつかみ所のない存在ではないかという気もします。いや、疑っているワケではないのですが、その雰囲気を察知していただいたのか、取材班一同は通称「検証ハウス」と呼ばれる場所へと案内されたのでした。

検証ハウス 写真
巨大な空間に設置された、住宅を模した部屋。ここ「検証ハウス」ではマイナス10℃からプラス40℃までの外部環境を作り出すことが可能。新型のエアコンは住宅を模した部屋に設置され、その性能が試されます。

検証ハウス 写真
気温だけでなく日射のシミュレーションや降雨/降雪実験もできるそうです。

検証ハウスとガンダーラ井上氏 写真

「検証ハウス」内には天井から無数のセンサーがぶら下がり、部屋のいたるところで3次元的な温度計測ができる仕組み。床上に設置された見慣れぬ計測装置に興味を示せば、コンフォートメータなるもので、ズバリ人間の快適性を数値化する装置だそうです。ちなみに見学時の外部環境の設定温度は10℃。室内では暖房が必要な気温に設定されておりました。巨大な送風機で擬似的な木枯らしも再現可能。快適性を追い求める開発現場って大変な職場です。

とうしゃさんとガンダーラ井上氏 写真

ちなみに「検証ハウス」以外にも、自然環境に設置された住環境の試験をするための設備もあり、総合的な性能確認がなされている模様。機能チーム・チームリーダーの藤社さんは新鋭機の試作品が仕上がると自宅に自分自身で設置。ご家族と一緒に快適性の確認をすると共に、設置工事に不自由な点が無いかどうかもチェックされるそうです。ユーザーだけでなく設置する人の快適性までも見据えた開発姿勢にはアタマの下がる思いです。

「快適性」の追求が生み出す「省エネ」

●電気代は11年前のモデルと比較して年間約19,600円もお得。
電気代の比較グラフ

人のいるところをサーチして、そのエリアに気流を届ける。しかも人の活動量まで察知して快適な体感温度にする技術。面倒なフィルター掃除や熱交換器のクリーニングを自動化する技術。いずれもユーザーがいかに快適にすごせるかという観点で開発されていますが、同時に省エネも実現しているのがスゴイ。部屋の必要なエリアを重点的に空調するからエネルギーのムダが省けるし、フィルターも常に掃除されている状態だから運転能力も下がらない。エアロボの性能は11年前のモデルと比較して電気代が約40%節約できるそうです。
これは搭載されたロボットの功績もさることながら、室内機の熱交換器や室外機のコンプレッサーなど根幹となる部品の効率化も大きく貢献しているとのこと。先進の技術はエアロボのあらゆるところに配置されているのです。

エアロボ開発の現場で追求されていたのは、エアコンのある部屋にいる人それぞれの心地よさ。もしかしたら近い将来には暑がりで汗っかきの男性と、手足が冷えてしまいがちな女性の区別だって可能になるかも。などと夢のような開発ロードマップを勝手に思い浮かべてしまったのであります。エアロボって、噂にたがわずスゴイ技術のカタマリでした。これからもエアロボはビックリするような進化をつづけていきそうですが、その開発姿勢の中心には「人間の快適性を追い求めることで、実は省エネも実践してしまう」というコンセプトが貫かれていくのだと思います。