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第3部 電動自転車も自動車も「社会車」へ

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第3部―電動自転車も自動車も「社会車」へ
ViViが拓新しいモビリティ

以上の話を自転車に置き換えても成立すると思うのだが、自転車の歴史は古く、普及台数も多く、自動車に比べれば価格も安い自転車は、その使用形態は自動車よりもずっとこなれているので、むしろ自動車が自転車から学ぶことが多いはずである。

そこに登場したのが、電動アシスト自転車だ。自転車のモビリティに新しい展開が加わることになった。電気であるがゆえに拓く新型モビリティである。

そこでナショナル自転車工業(株)では、介護、くらし・健康、業務、環境、海外というテーマで、新たな市場を拓きつつある。

介護
前回、ご紹介させていただいた友人の星野富弘は、電動車椅子によって生活の範囲を広げ、質を向上することができた。そればかりか、各地に講演に出かけ、多くの人に勇気と希望を与えることができた。私がいうのも変だが、電動車椅子さまさまである。

電気動力車は、からだの不自由な人を大いに元気づける。まずは、介護からご紹介しよう。

EVの講演で必ず紹介する夢は、どこでもドアーならぬ、どこでも診察室である。

EVであれば、排気ガスも騒音も出さないので、部屋の中に走り込める。そこでからだの不自由な人、病気の人を乗せて、病院に行く。雨の日も、風の日も、暑い夏でも、辛い思いをさせずにすむ。

病院に着いたら、そのまま診察室まで走り込む。そこでドアーを開けて診察も、治療も受けられる。病院からの帰りも、とても楽である。

ナショナル自転車工業(株)も、「リラクルカート」、「リラクルチェア」など、自転車という枠に収まらない商品を生み出している。これらは私の夢につながる電気動力車と言えるだろう。


 
 
ナショナル自転車工業(株)が拓く新市場
電動4輪カート(車いす)の「リラクルカート」。歩く速さで快適に走れる。
室内用電動車いすの「リラクルチェア」。座面を上下動できるので、落ちたものが自分で拾えるなど、「自分でできること」を増やしてくれるマシンだ。
介助する方、介助を受ける方の負担を軽減するために開発された床走行チェアリフト「リラクルチェア・ハース」。こちらも座面が上下動するため、ベッドからの移乗などが楽に行える。

くらし・健康
ViViが最も得意とする分野である。開発者に寄せられたユーザーの声から、印象的なものを紹介させていただこう。

「もともと足腰が悪く、自転車に乗ることをあきらめていた私ですが、ViViと出会ってからとたんに外出好きになりました。毎日の通院なども苦にならず、今ではViViは生活に欠かせない『大切な足』になっています」

この方はViViと出会うことで「自転車に乗れる新しい自分」を知ることができた。もし、普通の自転車に乗るのがしんどいと思われている方がおられたら、ぜひViViの漕ぎ心地を試してみてほしい。行動範囲が広がり、気分一新となることは間違いない。

ナショナル自転車工業(株)は、代表車種であるエクセレントViVi、最軽量なデラックスViVi以外にも、幅広いユーザー層に合わせた様々なモデルを用意している。お子さんや買い物の荷物を乗せ易い「チャイルドViVi」、高齢の方、身長の低い方用の「エレガントViVi20」、男性も乗りやすい27型・6段変速の「アルフィットViViスポーティ」、タフに使いたい方用の「タフネスViVi」と、多くのバリエーションがある。

●チャイルドViVi
ハンドルの回転軸にチャイルドシートを配置。重心移動を少なくしてふらつきを抑えた、子供乗せ専用設計モデル。
●エレガントViVi20
高齢者の踏力を考えてアシスト量を調整。スピードより楽さを優先した、足つきの良いモデル。
●アルフィットViViスポーティ
男性向け27型・6段変速モデル。長距離通勤や通学におすすめだ。
●タフネスViVi
ビジネス使用に最適な長距離走行モデル。
ViViのラインナップページはこちら

業務
英国では、牛乳配達にEVが使われている。早朝の配達なので騒音が嫌われる、牛乳ビンが割れないようスムーズな運転と乗り心地が求められるといった条件をEVであれば満たすことができ、一方、配達の区間が決まっているので航続距離が問題にならないからである。

同じような光景は、日本では新聞配達でおなじみだろう。早朝のバイクによる騒音、大気汚染を解決し、女性にも楽に扱える電動自転車は業務用にこそふさわしい。ナショナル自転車工業(株)では、右の新聞配達用のほか、同じく家から家へと走ることの多い郵便配達用、介護訪問ヘルパーの巡回用など、様々なタイプの業務用電動自転車を開発・納入している。

環境
通勤をマイカーからマイ自転車に切り替えた友人が私の回りにも多くいる。健康増進、生活費削減、通勤先に駐車場がないと、理由はさまざまである。しかし、共通している理由は、やはり環境保護だ。自転車は、環境コンシャスなモビリティの代表である。

しかし、友人たちにも悩みはある。いつも元気とは限らず、疲れているときは電動アシストが欲しいという。でも、電気がなくなると重くなるのも、車重自体が重いのも困るというのだが、これはViViであれば心配無用だ。

このViViをひっさげ、ナショナル自転車工業(株)は自治体とのコラボレーションにもトライしている。新津市と広島市ではエコ通勤レンタルが、北九州市では駅前エコサイクルが試験導入された。山坂の多い広島市では、ViViが大変に喜ばれたとのことだ。

観光地を自転車でという方には、JR九州の「楽チャリ」観光プロジェクトにアクセスしてほしい。九州の多くの街の駅前で電動自転車がレンタルできる。


 
 
 
 
 
 
ViViの技術が生かされた新聞配達用の電動自転車。
福岡県北九州市の「レンタサイクル&モノライド」は2002年8月から2003年1月まで実施され、約200名の市民が参加した。ちなみに「モノライド」とは「モノレールに乗る(ライドする)」ことを意味する。(クリックすると拡大します)
 
JR九州とナショナル自転車工業(株)のコラボレーション、「楽チャリ」。坂道の多い観光地で好評だ。(クリックすると拡大します)
「楽チャリ」の予約チケットは、JR九州の「みどりの窓口」で購入することができる。
JR九州「楽チャリ」のサイトはこちら!

自分の自転車でという方は、自動車のWiLLとWiLL自転車の組み合わせだってある。パーク&ライドならぬドライブ&ライドが楽しめる。

環境コンシャスと書いたが、自転車にもいくつか頭痛の種がある。駐輪と盗難だ。

駐輪が大変なのは駅前である。止めるところはないし、その辺に止めれば迷惑をかける。さりとて、バスより自家用車よりエコな交通手段かつ便利な電動アシスト自転車の良さは捨てられない。

この問題には、あるユニークなソリューションが存在する。私が取材で訪れた際、中川社長から「いろいろリサーチするなかで、こんな駐輪システムの存在を知りましてね。きっと驚かれますよ」と、1本のVTRをご紹介いただいた。それが世田谷区成城の地下駐輪システムである。自転車を入口に置くと、吸い込まれるようにして地下に自動的に運ばれ、収納されてしまう。見てびっくり、使って驚きのシステムだ。

日本人は、箱庭、盆栽に始まり、携帯電話の小型化等、コンパクトにする技に長けている。この地下駐輪システムは、まさに日本人の器用さと、卓抜な発想なくしてはできなかっただろう。

世田谷区成城の地下駐輪場((株)技研製作所開発の「エコ・サイクル」)の入出庫室外観。カードを挿入すると出入り口が開き、自転車セット後、自動で地下室に移送される。
「エコ・サイクル」設置イメージ。
(株)技研製作所のホームページはこちら!

 

では、盗難についてはどうか。ナショナル自転車工業(株)では、「ココセコム」対応のViViを開発した。セコム(株)のGPS端末を搭載すれば、電話、パソコン、携帯電話で位置情報を検索できる。ユーザーの要請でセコム(株)の緊急対処員が現場に急行するサービスや、適用期間内に盗難にあった場合はわずか300円の加入料で新車が購入できるサービスもある。盗難防止はもちろん、レンタル自転車業界からも、管理の効率が上がるということで高い関心が寄せられている。

対応車種は、デラックスViVi、エクセレントViVi、アルフィットViViだ。

盗難が防止できると、放置自転車が減るというメリットがある。

放置自転車問題は、豊かな社会だから生じる問題の側面を持ち、それゆえに解決がむずかしいのだが、放置された自転車の一部には盗まれた自転車が含まれていることを考えると、盗難の防止は放置自転車を減らせることにつながるわけだ。それゆえに駅周辺の環境保全にも有効である。

頭痛の種というほどでもないが、電動自転車に乗るには「充電」がつきものだ。ViViでは自治体・法人共同利用、マンション共同利用の計画がある。これが始まると、助かる人が多いに違いない。

EVでは、ViViのように電池を部屋まで持ち込んで充電するというわけにはいかず、マンションやアパートにお住まいの方は充電がほぼ不可能である。

日本EVクラブの会員の中には13階のマンションの部屋から下の駐車場までコードを伸ばして充電したというツワモノもいたが、だれでもできるわけではない。マンションの駐車場や市中の駐車場にコンセントが用意されていると、どこでもコンセント状態となり、EVも悠々と使える。ということで、日本EVクラブは「どこでもコンセント」をコンセプトに、2001年に全国縦断充電の旅を行なったのだった。

電気は、売電も買電も制限されている。さらにいえば大規模発電にも制限がある。やたら勝手に発電するのも、売るのも、買うのも許されない。

しかし、せめて電力会社とは別の企業でも電気を自由に売れるようになり、市中にプリペード型のコンセントが設置されると、いわゆる電化製品が市中で使える。公園のベンチにて電気釜でご飯を炊いて、電気コタツで暖を取り、TVをつけて、夜になったら電灯もつけて・・・。おっとこれではホームレスの助長になってしまうか。

それは別として、ViVi、リラクルカート、EV、携帯電話の充電や、電動工具、臨時の照明等、工事に使う道具類も、うるさいエンジン発電機がなくとも使え、便利で快適な市中生活が可能になる。

こうして「どこでもコンセント」で電気が自販機で買えるようになると、エンジン駆動の道具や製品が電気用に切り替わり、大気汚染も減少するに違いない。そして、これらの器具のうち、電池を持つものは、緊急の場合にはコンセントを使って逆に電気を電力会社に返すことができるようになる。先の燃料電池車発電所構想の拡大版である。

ViViやリラクルカート等の電気動力車の普及が、「どこでもコンセント」の普及につながると、大変に嬉しい。

海外
欧州では、すべての国というわけではないが、市中に自転車道路が確保されている。といっても、歩道の脇を白線で区切っただけのものもあって、臨機応変である。日本に比べると、やはり自転車の生活化は進んでいるようだ。

ViViには、グローバル・モデルがある。また、USA ViViもある。さらに、モーターや電池をユニットとした輸出もある。

欧州や米国にViViやそのユニットが輸出され、そこでかの地の自転車文化に溶け込み、新しいモビリティとして、逆に日本に輸入されると、日本のViVi文化もより活性化することになるだろう。

ViViのモーターユニットが採用されているスイスのバイクテック社製電動自転車。(クリックすると拡大します)
ユニークなスタイルは、日本の街でもきっと注目の的になるだろう。

以上、「介護、くらし・健康、業務、環境、海外」というテーマに沿って、ナショナル自転車工業(株)とViViが拓く市場についてお伝えした。今後、街中で、旅先で、電動自転車に出会う機会も増えてくるだろう。この便利さ・楽しさは、乗った人にしかわからない。できるだけ多くの人に体験していただきたい。


 
2003年8月に発売されたココセコムViViシリーズ。位置検索が可能なGPS端末を搭載することで、盗難防止のほか、レンタサイクルなどでの運行管理にも役立てることができる。


取材を通じてお会いした皆さんから感じとれたのは、ViViという商品に対する自信と、それを広めていこうとする真摯な姿勢である。中川社長の熱い思いが、社員全員に浸透しているということだろう。ViViにまつわる様々なエピソードや今後の展開についてご紹介してきたが、中でも特に感銘を受けたのは、社員が全国を回ってViViの実際の航続距離を確かめたということだった。これは、ユーザーにとってとてもありがたい。ViViを使う上で安心であり、販売店を信頼できる。

これは、技術ではない。むしろ技術を生かす技といってよい。旅の成果や結果を数値でカウントできるわけでもなく、測定も不能だが、きわめて優れた技である。

これまで、といっても産業革命以降だが、技術が重要視され、新しい技術が幸せをもたらせるといわれてきた。しかし、技術が成熟した20世紀は暴力と殺戮と破壊の世紀といわれることになった。

21世紀は、技術を生かす技術、これを技と呼ぶのであれば、技が重要になる。

その一つに、人間のからだをサポートする技術がある。介護技術もそうだ。あるいは身障者をサポートする技術もこれである。

しかし、介護を必要とする人も、身障者も、その障害は人さまざまである。世界共通とか、世界普遍で、だれでも使えるというモノはありえない。

ところが、技術は世界普遍、世界共通をめざしてきた。どこでも、だれでもが合い言葉であった。もっとも技術が不得手とするのが、個別的な対応が必要な介護であり、身障者のサポートだ。

技術を、個別的な対応が可能な技術にするのが、技である。技は、親身になってユーザーの事情を考えることで鍛えられる。これは、ユーザーを調査し、データーを集める作業を超えて、ユーザーになりきるということである。客観的な技術に対して、主観的な技ということもできる。

機械にすべて頼るのでも、人間の力だけに頼るのでもなく、2つの力を合わせたところに、21世紀の世界が拓ける。機械と人間のハイブリッドであり、技術と技のハイブリッドだ。

電動アシスト自転車も、人と機械のハイブリッド・ビークルである。ViViは、その機械と電気の部分を改良した。そして、今、利用方法という技を磨きつつある。期待したい。

END
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