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監督からのメッセージ

パナソニック トライアンズ 清水良規監督


2012年4月13日

4月10日(火)に行われたJBLプレーオフ・セミファイナル第3戦での敗退を持ちまして、今シーズンの全試合日程を終了いたしました。振り返ると主力選手の怪我による離脱が絶えず、本当に厳しいシーズンでした。夏のハワイ大との親善試合で永山が前十字靱帯断裂、青野は日本代表活動中に手の小指を骨折。シーズン序盤には木下のひざの故障、カスタスの左手甲の骨折、そして私自身も体調不良により欠場を余儀なくされ、一時は昨シーズンの主力が不在状態での戦いが続きました。
そのような状況下、広瀬・渡邉・金丸・阿部・根来ら若手や控えとしてチームを支えていた選手たちが奮起し、これまでとは一味違ったチームスタイルを確立することが出来ました。リーグ終盤では怪我人も戦列に復帰し、戦力の融合により上位を狙えるレベルにまでチーム力が向上したため、最低ラインの目標であったプレーオフ出場権を獲得することが出来ました。シーズンを通じ、特に終盤からプレーオフにかけて、ファンの皆様のご声援に後押しされたシーズンだったと感じております。
レギュラーシーズン1位のアイシンとの対戦となったセミファイナルでは、アウェイ2戦を1勝1敗としファイナル進出をかけての戦いを、トライアンズのホームコートで迎えることが出来ました。パナソニック アリーナでのセミファイナル第3戦では平日の夜の開催にもかかわらず、2000名を超える満員のファンの皆様にお越しいただき本当にありがとうございました。チームと会場の一体感は、私はもちろんのこと選手全員が鳥肌が立つくらいに実感しておりましたので、心底勝ちたかった。勝って会場全体でファイナルに乗り込んでいきたかった。
シーズンの反省材料は多々ありますが、選手たちは最後まであきらめず戦い本当に良くやってくれました。ファンの皆様にも感謝の気持ちで一杯です。北海道から九州まで各地から会場に足を運んでくださり、また、ほぼ全試合会場でお会いした方もいらっしゃいます。感謝の気持ちをどう表していいのか分からない程に感謝いたしております。チームはしばらくの間オフに入りますが、既に来シーズンに向けた準備を始めています。2012-2013シーズンも引き続き、また今シーズンより多くの熱い応援をよろしくお願いいたします。

トライアンズの2010-2011シーズン、JBLは2位、オールジャパンは8年ぶりの決勝進出を果たすも、天皇杯を手中にすることが叶わなかった。
就任7年目を迎える清水監督が、トライアンズの今を語る。

2010−2011シーズンをふり返って

昨シーズンのトライアンズは、リーグ前半の黒星先行発進から大きく舵を切りなおし、中盤からは自分たちのバスケを一戦一戦確かめながら戦うことができ、得るものが沢山あったシーズンだったと思っています。JBLは9月に開幕しましたが、チーム主力の木下、永山、広瀬の三名が2010年度の全日本メンバーとしてリーグ直前まで国際試合を戦ってきていましたので、残ったメンバーと彼らとの調整不足の影響を残したまま、リーグ開始直後早々に4連敗を喫することになってしまいました。

しかし、厳しく苦いスタートを切ったことでチームが奮い立つことになり、決して悪いプロセスではなかったと思っています。私にとっては苦しい時も木下、永山、広瀬らを信頼し、ゲームメーカーとして試合を進めてもらうことは、長いシーズンを闘っていくためにも必要なことという信念がありました。10月中旬以降は白星を積み重ね、チームのムードも上昇気流。こうなると止められないのが今のトライアンズ。選手たちの信頼関係が深まり、結束力も更に強固なものになりました。

勝ち星を蓄えたリーグ戦は、余力あるゲーム展開を可能にしました。若手や控え選手のプレイタイムを伸ばすこともでき、ゲームのバリエーションを様々なパターンで試すことも出来ましたが、悔やまれるのはリーグ2位でシーズンを終了することになったこと。一歩一歩積み上げてきたトライアンズが、ついに大きなチャンスを掴みかけたのですから・・・

また、1月に開催されたオールジャパン(天皇杯)、本当に悔しさが残ります。準決勝でトヨタ自動車に競り勝ち8年ぶりの決勝進出を果たすことができましたが、やはり決勝戦の雰囲気はリーグとは全く異なるということを痛感しました。トーナメント戦という一発勝負の闘いは負けたら次がありませんから、選手たちのプレッシャーも相当なものだったのでしょう。チーム一丸となってチャンスを掴もうと必死に戦いましたが、前半の点差を埋めるまでに至らず準優勝の成績となりました。選手交代のタイミングを躊躇してしまったことなど、私自身の采配が反省材料です。

悔しさをバネに、更なるタフさを。

こうしたもどかしさがあったからこそ、私も選手も例年より少し長いオフを逞しく過ごすことができたのではないでしょうか。オフの間は、体力づくりから実戦練習など全てにタフなメニューを組みましたよ。チームにとって対戦相手との戦いはもちろん真剣勝負だけれども、チームの中でもスターティングメンバーの座を獲得するためにもっと必死になってもらいたい。遠慮は要りません。これは生き残り競争なのですから。

選手たちに託すチャンスを平等にすること、これは私の信条です。そのチャンスを生かせず、今までと同じことをして自らつぶしてしまう選手と、課題を乗り越え新しいプレーが出来る選手がいるんです。今シーズンのオフは、そうした課題を克服して成長している選手たちがいるんです。頼もしいですよ。やはりトライアンズのメンバーとなったからには、ブルペンピッチャーではアカンと思うんです。学生時代に一定の成果を出してきた選手たちですからね。

優勝を目指すからには、個々人が今までの自分に加え社会人レベルでの実戦経験を積み、ゲームの中でシュートを打つ以外に自分の出来る役割の幅をどんどん広げていく必要があります。そして世界に羽ばたくためにも、そうしたチームへの貢献の方法を学んでいってほしいんです。2011年は全日本やユニバシアード候補に多くの選手を派遣したこともあり、残ったメンバーでのプレシーズンマッチなどの実践練習を組み込みながら、それぞれの選手の新たな可能性とチームコンビネーションを見つけ出してきました。

トライアンズは、個人プレーでゲームを展開するチームではありません。巧みで素早いパス回しから生みだされる一瞬のタイミングをコートにいる選手全員でチャンスにし、得点を積み重ねるチームプレーで相手の戦意を奪っていくスタイル。こうしたトライアンズらしさで、ファンの皆さんが今シーズンも十分に楽しめるゲームパターンが、私のイメージとしても広がりを持ってきています。

清水監督、戦力を語る

永山、青野らの怪我はチームにとってかなり厳しい状況ですが、トライアンズにはプラス要素があります。ひとつは、今シーズンのルーキー、金丸晃輔。彼は、高さもありポイントを稼ぐことの出来るプレーヤーです。長いシーズンを通じてどんなプレーを見せてくれるのか、私自身が一番楽しみにしていることかもしれませんね。金丸は新人ではあるけれど冷静だし、まだまだ自分自身を更なる高みに連れて行こうとする情熱もあるから。

それに、ユニバーシアードでキャプテンを務めた渡邉の成長も期待要素。ポイントガードとしても、相手をかわしながらのスリーポイントも精度が上がってきています。そして、広瀬。毎年、全日本で国際試合経験を積み、都度ひと周りもふた周りも大きくなって帰ってきてくれます。より高いレベルでプレーし、チームに戻ってきてくれるというその刺激レベルは計り知れません。

選手個人にとって、全日本メンバーというのはもちろん名誉なこと。トライアンズにとっては木下、永山、青野、広瀬、金丸、渡邉、根来と片手では納まらないメンバーが全日本、ユニバーシアード候補選手に選抜され高いレベルで揉まれてきました。だからこそ、チームはまだまだ発展途上にいると考えます。今シーズンも各選手ともにリーグの実践で実力と技術を身に付け、世界レベルの高さとスピードに太刀打ちできる選手に育ってほしいと願います。

その中で、今シーズンのチームの新しい戦力として加わったチャールズ オバノン選手(通称:チャック)の存在価値は大きい。もちろん彼のプレーそのものは非常に魅力的ですが、彼の全米優勝経験で得たバスケ人生そのものをトライアンズに浸透させてもらえればと期待します。彼は、トライアンズという新しい環境でもチームの意思を十分に理解し、プレーで応える柔軟性もありますよ。

そして、昨シーズン途中からスタッフとなった大野、今シーズンからチームに加入した金田アシスタントコーチ、この二人の働きも大きい。二人のバスケへの視点が異なるからこそ、チームにとって良い影響が出てきています。金田アシスタントコーチは冷静で、大野の熱さとのバランスが絶妙なんじゃないかな?

バスケはハート。そして、発想力。

私はバスケは“ハート”やと思ってるんです。強靭さを兼ね備えた“ハート”。いろんな場面で、ざまざまな環境で、前向きに強い気持ちで真正面から向き合い、闘ってきた選手たちの醸し出すプレーはやっぱり人を惹きつけます。加えて、どれだけ発想力があるのか。想像力が生み出すイメージパターンが多ければ多いほどメンバーからの信頼にも繋がり、結果としてチームの勝ちに繋がる。

“シューター”っていうのは、教えてもらってシューターになるものじゃないんです。ディフェンスとの間合いや駆け引きだったり、スピードある一瞬でのプレークオリティ。それは、選手自身の中で自然と生まれる判断能力なんです。その高める方法は本人のモチベーションであり、今までに鍛えてきた能力なんですね。

そんなことを考えると、今シーズンの注目は、やっぱり金丸。彼にとっては、長いシーズン、初体験のことも沢山あると思うし、彼なりに挫折も味わうこともあると思うけれど一つひとつ乗り越えてほしいですね。皆さん応援してやってください。金丸に1試合20得点を目標とさせますので、皆さんも試合会場で彼の一挙手一投足に注目し、ポイントをカウントしてみてください。試合の楽しみがまた変わったものになってくるはずです。

トライアンズの今シーズンは、昨シーズンたどりつけなかったところを狙っています。つまり、リーグ優勝、オールジャパン優勝しかないんです。トライアンズファンの皆さんの大きなサポートと期待を肌で感じるからこそ、私たちも前進するのみです。ホームゲームは、ファンの皆さんとのコミュニケーションが出来る大切な場です。是非、皆さんのパワーで、会場を大いに沸かせてください。今シーズンもトライアンズをよろしくお願いします。

練習が終わっても、休日のときも考えるのはトライアンズのこと。
バスケ以上の愉しみが見つけられないともいう。
清水監督にとって、日常はトライアンズブルーに染まっているようだ。